あなたは退職後に「離職票がまだ届かない」「このままでは失業保険の手続きができない」と焦っていませんか。結論、離職票がなくてもハローワークで仮手続きができます。この記事を読むことで離職票が届かない原因と対処法、仮手続きの方法がわかるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。
1.離職票がない状態とは?基礎知識を理解する

離職票とは何か|失業保険に必要な重要書類
離職票は正式には「雇用保険被保険者離職票」といい、会社を退職したことを証明する公的な書類です。
ハローワークで失業保険(基本手当)の受給手続きをする際に必ず必要となります。
離職票には退職理由や退職前の賃金状況が詳しく記載されており、これをもとにハローワークが失業保険の金額や給付日数を決定します。
そのため離職票がないと失業保険を受け取ることができず、生活に大きな影響が出る可能性があります。
転職先がすでに決まっている場合など失業期間がない人には不要ですが、失業保険を受給する予定がある人は必ず会社に発行を依頼しましょう。
離職票-1と離職票-2の違いと役割
離職票には「離職票-1」と「離職票-2」の2種類があり、それぞれ役割が異なります。
離職票-1は失業保険の振込先金融機関を登録するための書類です。
氏名や被保険者番号などがすでに記載されており、下部にある「求職者給付等払渡希望金融機関指定届」の欄に振込先口座情報を記入します。
離職票-2は退職理由や離職日以前の賃金支払状況が記載された書類で、失業保険の支給額や支給期間の決定に最も重要な役割を果たします。
離職前6か月間の賃金額が月ごとに記載されているほか、離職理由が「自己都合」か「会社都合」かも明記されています。
この2つの離職票はセットでハローワークに提出する必要があります。
離職票が届くまでの通常の流れと期間
離職票は退職後すぐに受け取れるものではなく、一般的に退職日から10日〜2週間程度で自宅に届きます。
まず退職時に会社の担当者に離職票の発行を依頼します。
次に会社が離職証明書と雇用保険被保険者資格喪失届をハローワークに提出します。
この提出は退職日の翌日から10日以内に行うことが法律で義務づけられています。
ハローワークで書類の内容を確認後、離職票が発行され会社に送られます。
最後に会社から退職者の自宅へ郵送される流れです。
この一連の手続きに時間がかかるため、退職後2週間程度は待つのが一般的です。
離職票がないと失業保険はもらえないのか
原則として離職票がなければ失業保険の正式な受給手続きはできません。
なぜなら離職票には失業保険の金額を計算するための賃金情報や、給付日数を決めるための離職理由が記載されているからです。
ただし離職票が届かない場合でも、ハローワークで仮手続きをすることで受給開始を早めることができます。
仮手続きは退職日から12日経過しても離職票が届かない場合に可能で、退職証明書など退職日がわかる書類があれば申請できます。
仮手続きをしておけば、離職票が後日届いた際にスムーズに本申請へ移行でき、失業保険の受給が遅れるリスクを減らせます。
ただし仮手続きから4週間後の認定日までには必ず離職票を提出する必要があります。
2.離職票が届かない4つの原因

原因1:会社に離職票の発行を依頼していない
離職票が届かない最も多い原因は、退職者本人が会社に離職票の発行を依頼していないことです。
離職票は退職したすべての人に自動的に発行されるものではありません。
退職者が「離職票が欲しい」と会社に伝えてはじめて発行義務が生じます。
すでに転職先が決まっている場合など失業保険を受給しない人には不要なため、会社は本人の希望を確認してから手続きを行います。
もし退職時に離職票について何も聞かれなかった場合は、会社が発行手続きをしていない可能性があります。
退職前または退職後すぐに「離職票を発行してください」と明確に伝えることが重要です。
メールや電話で記録に残る形で依頼しておくとトラブルを防げます。
原因2:会社側の手続きが遅れている
会社の担当者が手続きを忘れていたり、業務が立て込んで後回しになっている場合があります。
離職票の発行には給与額の記載が必要なため、給与計算が完了するまで処理が進まないこともあります。
また退職手続きに慣れていない担当者の場合、必要書類の準備に時間がかかることもあるでしょう。
中小企業では人事担当が兼任であることも多く、繁忙期と重なると手続きが遅れがちです。
退職から2週間経っても離職票が届かない場合は、まず会社に電話やメールで進捗を確認しましょう。
「離職票の手続き状況を教えていただけますか」と丁寧に問い合わせることで、忘れられていた場合でも対応してもらえます。
連絡する際はメールと電話の両方で確認すると、後で「聞いていない」というトラブルを防げます。
原因3:ハローワークの繁忙期で処理が滞っている
会社が手続きを済ませていても、ハローワーク側での処理に時間がかかっている可能性があります。
3月から4月の年度替わりやボーナス支給直後は退職者が増える時期で、ハローワークの窓口が混み合います。
この時期は通常より処理に時間がかかり、離職票の発行が遅れることがあります。
会社に確認して「すでにハローワークに書類を提出した」と言われた場合は、ハローワーク側の処理待ちです。
この場合は少し待つか、会社を管轄するハローワークに直接問い合わせて手続きの進捗を確認できます。
ただし問い合わせる際は会社の所在地を管轄するハローワークに連絡する必要があります。
自分の住所地のハローワークでは会社の手続き状況は確認できないので注意しましょう。
原因4:雇用保険に加入していなかった
そもそも雇用保険に加入していない場合は離職票は発行されません。
雇用保険の加入対象は週20時間以上勤務し、31日以上雇用される見込みがある人です。
正社員だけでなく、条件を満たせばアルバイトやパートも対象となります。
自分が雇用保険に加入していたかは、給与明細の控除欄を確認すればわかります。
「雇用保険料」という項目で毎月数百円程度引かれていれば加入していました。
もし雇用保険料が引かれていなかった場合でも、本来加入すべき条件を満たしていたのに会社が手続きを怠っていた可能性があります。
その場合はハローワークに相談すれば、さかのぼって雇用保険に加入できるケースもあるので諦めずに確認しましょう。
3.離職票が届かない時の具体的な対処法

対処法1:まず退職した会社に連絡する
離職票が届かない場合、最初に行うべきは会社への確認です。
退職から2週間経っても届かない時は、会社の人事担当者または総務担当者に連絡しましょう。
連絡方法は電話とメールの両方を使うのがおすすめです。
まずメールで「離職票の発行状況を教えてください」と問い合わせ、その後に電話で「先ほどメールでお問い合わせしましたが」と伝えます。
この方法なら記録も残り、担当者が「聞いていない」と言い逃れすることも防げます。
会社から「すでにハローワークに提出済み」と回答があった場合は、交付され次第すぐに郵送してもらうよう依頼しましょう。
もし担当者が手続きを忘れていた場合は、至急発行してほしいと明確に伝え、発送予定日を確認しておくと安心です。
対処法2:ハローワークに相談する
会社に連絡しても対応してもらえない場合や、会社が離職票の交付を拒んでいる場合はハローワークに相談しましょう。
相談先は2つあります。
会社を管轄するハローワークでは、会社が手続きを進めているかを確認できます。
手続きがされていない場合、ハローワークから会社に離職票の交付手続きを行うよう催促してもらえます。
自分の居住地を管轄するハローワークでは、会社が離職票の交付を拒んでいる場合などに相談できます。
ハローワークから会社に連絡してもらえるだけでなく、場合によってはハローワークが職権で離職票を発行してくれることもあります。
相談する際は退職日や会社名、これまでの経緯を整理しておくとスムーズです。
退職証明書など退職を証明する書類があればより確実です。
対処法3:退職日から12日経過したら仮手続きを検討
離職票の到着を待っている間に生活が困窮するのを防ぐため、仮手続きという制度があります。
仮手続きは退職日の翌日から12日経過しても離職票が届かない場合に利用できます。
例えば7月20日に退職した場合、8月1日から仮手続きが可能です。
仮手続きをしておけば、離職票が届いた後の本申請がスムーズになり、失業保険の給付開始を早められます。
ただしハローワークによって仮手続きの運用が異なるため、事前に自分の居住地を管轄するハローワークに電話で確認しましょう。
仮手続きには退職証明書や社会保険資格喪失証など退職日がわかる書類が必要です。
詳しい手続き方法は次の章で解説します。
会社が離職票を出さないのは違法|罰則について
退職者から離職票の発行を求められた場合、会社は交付する義務があります。
雇用保険法第76条3項により、離職票の交付を拒むことは法律違反です。
違反した場合、会社には6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
また会社は退職日の翌日から10日以内にハローワークに必要書類を提出する義務があります。
正当な理由なくこの期限を守らないことも違法行為となります。
嫌がらせで離職票を送付しない悪質な会社も残念ながら存在しますが、これは明確な法律違反です。
会社が離職票の発行を拒む場合は、まずハローワークに相談し、それでも解決しない場合は労働基準監督署に相談することもできます。
離職票を受け取る権利は法律で守られているので、泣き寝入りする必要はありません。
4.ハローワークでの仮手続き完全ガイド

仮手続きとは何か|離職票なしで申請できる制度
仮手続きとは、離職票が手元になくても失業保険の受給手続きを開始できる制度です。
正式には「失業保険給付の仮手続き」や「仮受付」と呼ばれます。
通常の失業保険の手続きと同じように求職登録を行い、待機期間のカウントを開始できます。
仮手続きをしておくことで、離職票が後日届いた際にすぐに本申請へ移行でき、失業保険の受給開始が早まります。
特に会社都合退職の場合は給付制限期間がないため、仮手続きをすることで受給開始をかなり早められます。
ただし仮手続きはあくまで「仮」なので、最初の失業認定日(4週間後)までには必ず離職票を提出する必要があります。
離職票を提出できない場合、失業保険の支給が保留となり受け取れなくなるので注意しましょう。
仮手続きができる条件とタイミング
仮手続きができる条件は退職日の翌日から12日経過しても離職票が届かない場合です。
例えば7月20日に退職した場合、7月21日から12日目となる8月1日以降に仮手続きが可能になります。
一部のハローワークでは退職証明書など退職を証明する書類があれば、退職日の翌日からすぐに仮手続きを受け付けることもあります。
ただし仮手続きの運用はハローワークによって異なります。
中には仮手続き自体を行っていないハローワークもあるため、必ず事前に電話で確認しましょう。
確認する際は「離職票がまだ届いていないが仮手続きは可能か」「必要な書類は何か」「いつから手続きできるか」を聞いておくとスムーズです。
電話で確認してから来所すれば、無駄足を防げます。
仮手続きに必要な書類と持ち物リスト
仮手続きに必要な書類は以下の通りです。
退職を証明する書類(以下のいずれか1つ)
- 退職証明書
- 社会保険資格喪失証明書
- 雇用契約書(退職日が記載されているもの)
- 健康保険資格喪失確認通知書
マイナンバーカード
マイナンバーカードがない場合は、個人番号確認書類(通知カードまたは個人番号記載の住民票)と身元確認書類(運転免許証、パスポートなど)の両方が必要です。
証明写真2枚(縦3.0cm×横2.4cm)
最近撮影したもので、正面から撮った上半身の写真を用意しましょう。
本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
失業保険の振込先口座がわかるものが必要です。
印鑑
シャチハタ以外の認印を持参しましょう。
これらの書類を忘れると仮手続きができないので、事前にしっかり準備しておきましょう。
仮手続きの流れと注意点
仮手続きの流れは以下の通りです。
1.ハローワークの受付で仮手続きをしたい旨を伝える
窓口で「離職票がまだ届いていないので仮手続きをしたい」と伝えます。
2.雇用保険担当の窓口に案内される
番号札を受け取り、呼ばれるまで待ちます。
3.持参した書類を提出し、状況を説明する
担当者に離職票が届かない理由や会社への確認状況を説明します。
4.失業保険の受給資格があるか確認される
雇用保険の加入期間や退職理由などを確認されます。
5.「失業等給付受給資格者のしおり」が配布される
仮手続きの場合は「仮」のマークがついた状態で配布されます。
6.制度の説明や注意点を聞く
失業保険の仕組みや求職活動の方法、次回来所日などの説明を受けます。
注意点として、仮手続きでもハローワークに2回通う必要があります。
1回目が仮手続き、2回目が離職票が届いた後の本申請です。
また待ち時間が長くなることもあるので、時間に余裕を持って来所しましょう。
仮手続き後に離職票を提出する期限
仮手続き後、初回の失業認定日(約4週間後)までには必ず離職票を提出する必要があります。
失業認定日は仮手続きをした日から約3〜4週間後に設定されることが一般的です。
この認定日までに離職票を提出できないと、失業保険の支給が保留となり受け取れません。
離職票が届いたら、できるだけ早くハローワークに持参しましょう。
仮手続きの際にハローワークから「離職票が届いたらすぐに持ってきてください」と案内されます。
会社やハローワークに催促を続け、認定日までに必ず離職票を入手できるよう努力しましょう。
万が一認定日までに入手できない見込みの場合は、早めにハローワークに相談すれば対応方法を教えてもらえます。
諦めずに相談することが大切です。
まとめ
- 離職票は失業保険の受給に必要な公的書類で、退職後10日〜2週間で届くのが一般的である
- 離職票-1は振込先口座を登録する書類、離職票-2は賃金情報や退職理由が記載された重要書類である
- 離職票が届かない主な原因は、本人が発行依頼をしていない、会社の手続き遅延、ハローワークの繁忙期、雇用保険未加入の4つである
- 離職票が届かない場合はまず会社に連絡し、それでも解決しない時はハローワークに相談する
- 会社が離職票の交付を拒むことは違法で、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となる
- 退職日から12日経過しても離職票が届かない場合は、ハローワークで仮手続きができる
- 仮手続きには退職証明書、マイナンバーカード、証明写真、通帳などが必要である
- 仮手続きをすることで失業保険の受給開始を早められるが、初回認定日までに離職票の提出が必須である
- 仮手続きの運用はハローワークによって異なるため、事前に電話で確認することが重要である
- 離職票を受け取る権利は法律で保護されているので、泣き寝入りせずハローワークや労働基準監督署に相談できる
離職票が届かない不安な状況でも、適切な対処法を知っていれば必ず解決できます。
まずは会社に連絡し、必要に応じてハローワークに相談しながら、仮手続きも活用して失業保険の受給手続きを進めましょう。
あなたの生活を守るための制度ですので、遠慮せず積極的に行動してください。
関連サイト
ハローワークインターネットサービス – 雇用保険手続きのご案内
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_guide.html
