あなたは「相手の会社をどう呼べばいいのか」と迷ったことはありませんか?結論、ビジネスシーンでは「御社」と「貴社」を使い分けることが基本です。この記事を読むことで、シーン別の正しい呼び方や敬語表現のマナーがわかるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。
1.相手の会社の基本的な呼び方

「御社」と「貴社」の正しい使い分け
相手の会社の呼び方で最も基本となるのが「御社」と「貴社」の使い分けです。
御社は話し言葉として使用します。
対面での商談や電話での会話、プレゼンテーションなど、口頭でのコミュニケーションでは御社を使うのが正しいマナーです。
一方、貴社は書き言葉として使用します。
ビジネスメール、提案書、契約書、履歴書などの文書では貴社を使います。
この使い分けを間違えると相手に違和感を与えてしまうため、ビジネスパーソンとして必ず押さえておきたいポイントです。
迷ったときは「話すときは御社、書くときは貴社」と覚えておくとよいでしょう。
会社の正式名称を確認する方法
相手の会社を呼ぶ前に、必ず正式名称を確認することが重要です。
正式名称の確認方法としては、以下の方法があります。
- 相手の名刺を確認する
- 会社の公式ウェブサイトを見る
- 会社案内やパンフレットをチェックする
- 法人番号公表サイトで検索する
- 帝国データバンクなどの企業情報サービスを利用する
特に初めて取引する会社の場合は、正式名称を間違えると大変失礼にあたります。
「株式会社」の位置や、英字表記の有無、旧字体の使用など、細かい部分まで確認しましょう。
正式名称がわからない場合は、相手に直接確認するのも一つの方法です。
「株式会社」の位置による呼び方の違い
株式会社の位置は、前株か後株かで正式名称が変わります。
前株の例:株式会社○○商事
後株の例:○○商事株式会社
ビジネス文書では必ず正式名称通りに記載する必要があります。
ただし、口頭での会話では「株式会社」を省略しても問題ない場合が多いです。
例えば「御社の新製品について」と言う場合、わざわざ「株式会社○○様の新製品について」と言う必要はありません。
しかし、契約書や正式な文書では省略せず、正確に記載することが求められます。
登記簿謄本に記載されている通りの表記が正式名称ですので、重要な書類では必ず確認しましょう。
相手の会社を略称で呼んでいい場合とダメな場合
相手の会社を略称で呼ぶことは、関係性によって許される場合とそうでない場合があります。
略称を使ってもよい場合は以下の通りです。
- 長年の取引があり、信頼関係が構築されている
- 相手側から略称を使うよう勧められた
- 業界内で一般的に使われている略称である
- 社内での会話や議事録など、内部資料である
一方、略称を避けるべき場合もあります。
- 初めての取引や商談の場面
- 正式な契約書やビジネス文書
- 相手の役職が高い場合
- 公式な場やプレゼンテーション
例えば「JR」や「NTT」のように広く認知された略称であっても、正式な文書では「東日本旅客鉄道株式会社」「日本電信電話株式会社」と記載するのが基本です。
迷ったときは正式名称を使うのが無難でしょう。
2.シーン別・相手の会社の呼び方の使い分け

対面や電話での相手の会社の呼び方
対面や電話でのコミュニケーションでは「御社」を使用するのが基本です。
商談の場面では「御社の事業内容について詳しくお聞かせいただけますか」のように使います。
電話での問い合わせでは「御社の製品に興味がございまして、お電話いたしました」という表現が適切です。
また、相手の会社を三人称として使う場合も御社を使います。
例えば「御社と弊社で協力して進めていければと考えております」のような使い方です。
注意点として、御社は尊敬語ですので、自分の会社には使えません。
自社のことを話すときは「弊社」「当社」「私ども」などを使い分けましょう。
メールやビジネス文書での相手の会社の呼び方
メールやビジネス文書では「貴社」を使用します。
ビジネスメールの例文としては「貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」という書き出しが一般的です。
提案書では「貴社の課題解決に向けて、以下の提案をさせていただきます」のように使います。
契約書や正式な文書では、より丁寧に「御社」ではなく「貴社」と記載することが重要です。
また、履歴書や職務経歴書でも「貴社の事業内容に共感し、応募いたしました」のように貴社を使用します。
電子メールであっても文章ですので、話し言葉の「御社」ではなく書き言葉の「貴社」を使うことを忘れないようにしましょう。
社内で相手の会社について話すときの呼び方
社内で相手の会社について話すときは、状況に応じて呼び方を変えます。
上司や同僚との会話では「○○社」「○○さん」と略称や通称を使うことが多いです。
例えば「○○社から見積もりの依頼が来ています」のように使います。
ただし、社内であっても正式な会議や議事録では正式名称を使用すべきです。
取締役会や経営会議の議事録では「株式会社○○」と正式名称で記載します。
また、社内メールでも内容の重要度によって使い分けが必要です。
カジュアルな連絡であれば略称でも構いませんが、重要な案件や複数の部署が関わる場合は正式名称を使うのが適切でしょう。
プレゼンテーションや会議での呼び方
プレゼンテーションでは「御社」を使用します。
「本日は御社の課題解決に向けた提案をさせていただきます」のように、口頭で話す内容には御社が適しています。
一方、プレゼンテーション資料には「貴社」を記載します。
スライドは文書として残るものですので、書き言葉である貴社を使うのが正しいマナーです。
つまり、話す内容と資料の表記を使い分ける必要があります。
会議の場でも同様で、発言では「御社」、配布資料や議事録では「貴社」を使用しましょう。
複数の会社が参加する会議では、どの会社のことを指しているのか明確にするため、社名を具体的に述べることも重要です。
3.相手の会社を呼ぶときの注意点とマナー

よくある間違い例と正しい呼び方
相手の会社の呼び方でよくある間違いをご紹介します。
よくある間違い例は以下の通りです。
| 間違い例 | 正しい呼び方 | 理由 |
|---|---|---|
| メールで「御社」を使う | 貴社 | メールは書き言葉のため |
| 対面で「貴社」と話す | 御社 | 対面は話し言葉のため |
| 自社を「御社」と呼ぶ | 弊社・当社 | 御社は相手の会社にのみ使う |
| 「○○会社」と呼ぶ | 株式会社○○ | 正式名称を使う |
| 「貴社様」と書く | 貴社 | 二重敬語になる |
特に「貴社様」は二重敬語となり、誤った表現です。
「貴社」自体がすでに敬語ですので、「様」をつける必要はありません。
また、自分の会社を「御社」「貴社」と呼ぶのは大きな間違いです。
謙譲語である「弊社」「当社」を使うようにしましょう。
敬語表現で気をつけるべきポイント
相手の会社について話すときは、敬語の使い方に十分注意が必要です。
相手の会社の行動には尊敬語を使います。
例えば「御社が開発された製品」「貴社がご提案くださった内容」のように表現します。
自社の行動には謙譲語を使います。
「弊社からご提案させていただきます」「当社で検討いたします」のように使い分けましょう。
また、相手の会社の社員についても敬語を使います。
「御社の田中様がおっしゃっていました」「貴社の営業部の方からご連絡をいただきました」という表現が適切です。
敬語の使い分けを間違えると、相手に失礼な印象を与えてしまうため、注意が必要です。
複数の会社が関わる場合の呼び方
複数の会社が関わるプロジェクトでは、呼び方を明確にする必要があります。
三社以上が関わる場合、単に「御社」「貴社」だけでは、どの会社を指しているのか不明確になります。
このような場合は「A社様」「B社様」のように、具体的な社名を使って区別します。
会議やメールでは、誰が読んでもわかるように明示することが重要です。
例えば「A社様、B社様、弊社の三社共同で進めてまいります」のように表現します。
また、議事録や報告書では、各社の役割を明確に記載しましょう。
「発注元:A社様、開発担当:弊社、製造担当:B社様」のように整理すると、関係性がわかりやすくなります。
親会社・子会社・グループ会社の呼び分け
企業グループ内の会社については、関係性を理解した上で呼び方を選びます。
親会社と取引している場合でも、実務を担当するのが子会社であれば、子会社名を使って話すのが適切です。
例えば「○○グループの△△株式会社様」のように、グループ名と個別の会社名を併記することもあります。
グループ全体を指す場合は「○○グループ様」という表現も使えます。
ただし、契約書などの正式文書では、契約主体となる具体的な法人名を明記する必要があります。
また、相手がどの会社に所属しているかを確認することも大切です。
名刺に複数の会社名が記載されている場合もありますので、どの立場で話しているのかを理解しておきましょう。
4.立場や関係性による相手の会社の呼び方

取引先・顧客・協力会社での呼び方の違い
取引先、顧客、協力会社では、立場によって若干のニュアンスの違いがあります。
顧客に対しては最も丁寧な対応が求められます。
「御社のご要望にお応えできるよう努めてまいります」のように、尊敬の度合いを高めた表現を使います。
協力会社や下請け会社に対しても、対等なパートナーとして敬意を持って接することが重要です。
「御社のご協力をいただきながら進めております」のように、相手を尊重する表現を心がけましょう。
仕入れ先や取引先に対しても、基本的には「御社」「貴社」を使います。
ただし、長年の取引がある場合や、業界の慣習によっては、もう少しカジュアルな呼び方をすることもあります。
それでも、正式な場面では必ず敬語を使用することを忘れないようにしましょう。
新規営業と既存顧客での呼び方の使い分け
新規営業では、より丁寧な言葉遣いを心がけることが大切です。
初めての商談では「御社のご事業について、ぜひ詳しくお聞かせいただけますでしょうか」のように、慎重な表現を使います。
相手の会社について十分な情報がない段階では、正式名称を確認し、略称を使わないようにしましょう。
既存顧客に対しては、関係性に応じた距離感を保ちます。
長年の取引がある場合でも、基本的には「御社」「貴社」を使用します。
ただし、相手との関係性が非常に親密であれば、「○○さんのところ」のようなカジュアルな表現を使うこともあります。
しかし、これは相手が許容している場合に限られますので、判断には注意が必要です。
迷ったときは、常に丁寧な表現を選ぶのが安全でしょう。
業界や職種による特有の呼び方
業界や職種によって、相手の会社の呼び方に特有の慣習がある場合があります。
金融業界では「貴行」(銀行)、「貴庫」(信用金庫)のように、業種に応じた敬称を使います。
保険会社には「貴社」、病院には「貴院」、学校には「貴校」を使用します。
官公庁に対しては「御庁」「貴庁」を使うこともあります。
業界特有の呼び方の例は以下の通りです。
- 銀行:貴行(書き言葉)、御行(話し言葉)
- 信用金庫:貴庫、御庫
- 病院:貴院、御院
- 学校:貴校、御校
- 省庁:貴省、御省
- 新聞社:貴社、御社(一般企業と同じ)
ただし、これらの特殊な敬称を無理に使う必要はありません。
「貴社」「御社」を使っても失礼にはあたりませんので、自信がない場合は一般的な表現を使いましょう。
また、相手がどのような呼び方を好むかを観察し、それに合わせることも良い方法です。
まとめ
この記事では、相手の会社の正しい呼び方について詳しく解説しました。重要なポイントをまとめます。
- 話し言葉では「御社」、書き言葉では「貴社」を使い分けることが基本
- 相手の会社の正式名称を必ず確認し、特に正式文書では正確に記載する
- 「株式会社」の位置(前株・後株)にも注意を払う
- メールやビジネス文書では「貴社」、対面や電話では「御社」を使用する
- 「貴社様」は二重敬語なので使わない
- 複数の会社が関わる場合は、具体的な社名を使って明確にする
- 業界によっては「貴行」「貴院」などの特殊な敬称もある
- 新規営業ではより丁寧な表現を心がけ、既存顧客でも基本的な敬語は維持する
- 社内での会話と正式な文書では、呼び方を使い分ける
- 迷ったときは常に丁寧な表現を選ぶのが安全
ビジネスシーンでは、相手への敬意を適切に表現することが信頼関係の構築につながります。この記事で学んだ知識を活かして、自信を持ってコミュニケーションを取っていきましょう。
関連サイト
文化庁 敬語の指針
