あなたは「寸志を目上の人に使っても良いのか」と迷ったことはありませんか?結論、寸志は目上の人から目下の人に使う言葉で、逆に使うのはマナー違反です。この記事を読むことで目上の人に使える正しい言い換え表現と、ビジネスシーンでの適切な使い方がわかるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。
1.寸志の言い換えが必要な理由と基本知識

寸志の意味と読み方
寸志は「すんし」と読みます。
「寸」は「わずか」「ほんの少し」という意味を持ち、「志」は「思いやりの気持ち」や「心遣い」を意味する漢字です。
つまり寸志とは、「心ばかりの贈り物」や「少しばかりの思いやり」を表す謙譲表現なのです。
ビジネスシーンでは、忘年会や新年会、歓送迎会などで上司が幹事に渡すお金や、会社が従業員に渡す少額の金銭を指すことが多いでしょう。
プライベートでは、結婚式や葬儀でお世話になった方へのお礼として渡す金品のことを指します。
なぜ目上の人に「寸志」が使えないのか
寸志は自分の贈り物をへりくだって表現する謙譲語です。
そのため、目上の人が目下の人に対して使う言葉であり、立場が逆になると大変失礼な表現になってしまいます。
例えば、部下が上司に感謝の気持ちを込めてお金を渡す際に「寸志です」と言ってしまうと、上司を見下しているような印象を与えてしまうのです。
これは「つまらないものですが」と言いながら贈り物をする日本の謙遜文化と同じ考え方ですが、相手が目上の場合は別の表現を使う必要があります。
目上の人への贈り物には「御礼」「ご挨拶」「謝儀」などの言葉を使うのが正しいマナーです。
寸志とボーナス・賞与の違い
寸志とボーナス・賞与は、どちらも金銭を渡すという点では同じですが、性質が大きく異なります。
ボーナスや賞与は、従業員に対して正規の給与以外に支給される金銭で、金額や支払時期が就業規則などで明確に定められています。
また、ある程度まとまった金額が支給されるのが一般的です。
一方、寸志は、ボーナスや賞与を支給する基準に達していない従業員や、入社したばかりの新入社員に対して、日頃の感謝やお祝いの気持ちを込めて渡される少額の金銭です。
つまり、寸志は制度化されたものではなく、あくまで心遣いや感謝の気持ちを表すものという位置づけになります。
寸志を受け取った時の正しい対応
寸志を受け取った際は、まずその場ですぐにお礼を伝えることが大切です。
ただし、ここで注意が必要なのは、受け取る側が「寸志」という言葉を使ってはいけないという点です。
「寸志をありがとうございます」と言ってしまうと、相手の謙遜を否定することになり、失礼にあたります。
正しくは「ご厚志(ごこうし)」や「ご芳志(ごほうし)」に言い換えてお礼を述べましょう。
例えば「ご厚志をいただき、誠にありがとうございます」といった表現が適切です。
2.目上の人に使える寸志の言い換え表現15選

ご厚志・ご芳志(最も一般的な言い換え)
ご厚志(ごこうし)は「深い思いやりの気持ち」や「心のこもった親切」を意味する言葉です。
相手の行為や贈り物に対して尊敬の意を示す「ご(御)」をつけて、相手の思いやりや親切を指します。
ビジネスシーンでは、上司や主賓から幹事に渡されたお金を指して使われることが多いでしょう。
ご芳志(ごほうし)は「他人を敬って、その親切な心遣いをいう語」です。
ご厚志とほぼ同じ意味ですが、「芳」という字自体に「相手を敬う」という意味があるため、ご芳志の方がより丁寧で改まった表現となります。
フォーマルな場面や、特に敬意を示したい相手には「ご芳志」を使うとよいでしょう。
御礼・ご挨拶(目上の人への贈り物)
御礼(おんれい)は、目下の人が目上の人に感謝の気持ちを込めて金品を渡す際に使える表現です。
寸志が使えない場面で最も一般的に使われる言い換え表現の一つです。
封筒の表書きに「御礼」と書いて渡すことで、感謝の気持ちを丁寧に伝えることができます。
ご挨拶(おあいさつ)も同様に、目上の人への贈り物として使える表現です。
特に転勤や異動の際の挨拶回りで渡す場合や、お世話になった方への心付けとして使われることが多いでしょう。
「御礼」よりもやや軽い印象があるため、カジュアルな関係性の場合に適しています。
謝儀・薄謝(フォーマルなシーン)
謝儀(しゃぎ)は、講演会や研修会などで講師に渡す謝礼金を指す際に使われる表現です。
専門家や外部の方に対して、その労力や知識に対する感謝を示すフォーマルな言葉です。
ビジネスシーンでは、セミナー講師や顧問、コンサルタントなどに支払う報酬を指して使われることが多いでしょう。
薄謝(はくしゃ)は「わずかな謝礼」という意味で、自分が渡す謝礼をへりくだって表現する言葉です。
雑誌や書籍への寄稿、インタビュー協力などに対する謝礼として使われることがあります。
「寸志」と同様に謙譲表現ですが、より文章語的でフォーマルな印象を与えます。
松の葉・お心遣い(柔らかい表現)
松の葉(まつのは)は「松の葉で包んだくらいのささやかなもの」という意味から転じて、謙遜して贈り物を表す言葉です。
寸志と異なり、目上・目下の区別なく使える便利な表現です。
同等の立場の人や、親しい間柄での贈り物にも使えるため、ビジネスシーンでも幅広く活用できます。
お心遣い(おこころづかい)は、配慮や思いやりの意味だけでなく、ささやかな金品を意味することもあります。
「お心遣いをいただき」という形で、相手からの贈り物を受け取った際に使うこともできますし、「お心遣いですが」と言って自分から渡すこともできる柔軟な表現です。
堅苦しくない雰囲気の職場や、親しい関係性の中で使いやすい言葉でしょう。
シーン別の使い分けポイント
言い換え表現は、シーンに応じて適切に使い分けることが重要です。
忘年会・新年会などの社内イベントでは「ご厚志」「ご芳志」を使うのが一般的です。
幹事が主賓や上司から受け取った金銭を紹介する際に「○○部長よりご厚志を賜りました」と報告します。
目上の人への贈り物としては「御礼」「ご挨拶」が適切です。
上司の異動や退職の際、お世話になった感謝を込めて渡す場合に使います。
外部の専門家への謝礼には「謝儀」を使用します。
セミナー講師や顧問など、プロフェッショナルに対する報酬として使う表現です。
親しい関係や同等の立場では「松の葉」「お心遣い」が使いやすいでしょう。
相手との関係性や場面の格式に合わせて、最適な表現を選ぶことがビジネスマナーの基本です。
3.ビジネスシーンでの寸志の渡し方とマナー

忘年会・新年会での正しい渡し方
忘年会や新年会では、最も役職が上の人が幹事に対して寸志を渡すのが一般的です。
渡すタイミングは会が始まる前が望ましいとされています。
これは幹事が会計管理をしやすくするためと、お酒を飲んで紛失するリスクを避けるためです。
できれば前日や当日の開始前に「幹事をお願いしてありがとう」とねぎらいの言葉を添えて渡しましょう。
また、寸志を渡した場合、幹事は会の冒頭や乾杯の挨拶の後に、参加者全員に報告するのがマナーです。
「本日は○○部長よりご厚志を賜りましたことをご報告いたします」といった形で伝えます。
決して「寸志をいただきました」とは言わず、必ず「ご厚志」や「ご芳志」に言い換えて報告しましょう。
歓送迎会で主賓が渡す場合の注意点
歓迎会や送別会では、主賓は会費を徴収されないのが一般的です。
しかし、感謝の気持ちとして主賓が自発的に寸志を包むケースもあります。
主賓が寸志を渡すかどうかは、会社の文化や慣習によって異なります。
事前に同じ立場を経験した先輩や幹事に確認しておくと安心です。
渡す場合の金額は、一般の会費よりも多めに包むのが基本です。
例えば、会費が一人3,000円であれば5,000円から10,000円程度を目安にするとよいでしょう。
最近では寸志を用意する習慣が薄れている企業も増えているため、無理に渡す必要はありません。
ただし、温かく歓迎・送別してくれた感謝の気持ちを何らかの形で表すことは大切です。
封筒の選び方と表書きの書き方
寸志を包む封筒は、豪華な水引がついていないシンプルな白封筒を選びましょう。
結婚祝い用の華やかなのし袋は避け、どんなシーンでも使える無地の白封筒が無難です。
お礼の意味で使用する場合は、水引が薄く印刷されているものでも構いません。
表書きの書き方は、封筒の表面中央上部に「寸志」と書き、その下に自分の名前を書きます。
会社から渡す場合は会社名でも問題ありません。
濃墨の筆または筆ペンを使用するのが正式なマナーですが、最初から「寸志」と印刷されている封筒を使用しても構いません。
目上の人に渡す場合は「寸志」と書いてはいけません。
代わりに「御礼」「ご挨拶」「謝儀」などと記入しましょう。
渡すタイミングと添える言葉
寸志を渡すタイミングに明確な決まりはありませんが、早めに渡すのが基本です。
飲み会などでは会の始まる前、できれば前日に渡しておくと確実です。
これにより渡し忘れを防ぐことができ、幹事も会の中で参加者に伝える準備ができます。
結婚式や葬儀などの冠婚葬祭では、当日の顔合わせのタイミングで渡すとよいでしょう。
ただし、落ち着いたタイミングを見計らって渡すことも大切です。
渡す際には必ず感謝の言葉を添えます。
「いつもお世話になっております」「幹事をお願いしてありがとうございます」「わずかですが」「気持ちばかりですが」といった言葉とともに手渡しましょう。
黙って渡すのは失礼にあたるため、必ず一言添えることを忘れないでください。
金額の相場と決め方
寸志の金額に明確な決まりはありませんが、相手が負担に感じるような高額は避けるのが基本です。
一般的な相場としては、1,000円から10,000円程度とされています。
飲み会の場合は、設定された会費よりも少し多めに包むのが一般的です。
会費が3,000円なら5,000円、会費が5,000円なら10,000円といった具合です。
結婚式や披露宴で手伝ってくれた方への寸志は、3,000円から10,000円が目安です。
受付係や二次会の幹事など、手伝ってもらった度合いによってバランスを考えて決めましょう。
引っ越し業者への寸志は、1,000円から3,000円程度が相場です。
ただし、最近では業者が受け取りを断るケースも増えているため、飲み物や菓子折りを用意するのも良い方法です。
葬儀での寸志は、役割によって金額が異なります。
受付や駐車場係には3,000円から5,000円、火葬場の方には5,000円程度が目安とされています。
ただし、公営の葬儀場や火葬場では賄賂と見なされるため受け取りを禁止している場所もあるので、事前に確認が必要です。
4.冠婚葬祭での寸志の使い方

結婚式・披露宴での渡し方
結婚式や披露宴では、新郎新婦が手伝ってくれた方々に寸志を渡すことがあります。
受付係、二次会幹事、余興を担当してくれた友人などが対象となります。
渡す金額は、手伝ってもらった内容や負担の度合いによって調整しましょう。
一般的には一人あたり3,000円から10,000円程度が相場です。
渡すタイミングは、式の前日や当日の準備の際が望ましいとされています。
披露宴の最中や終了後では慌ただしく、渡し忘れる可能性もあるためです。
封筒には「寸志」ではなく「御礼」や「心づけ」と表書きするのが一般的です。
また、金銭ではなく、お菓子やギフトカードなどの品物で感謝を表すこともできます。
葬儀・法要での寸志マナー
葬儀では、喪主が様々な方にお世話になるため、寸志を渡す場面が多くあります。
受付係、道案内係、供花係、駐車場係などの親族や友人に渡す寸志は3,000円から5,000円が目安です。
火葬場の方には5,000円程度、霊柩車やマイクロバスの運転手には3,000円から5,000円程度が相場とされています。
ただし、公営の葬儀場や火葬場では受け取りを禁止している場合が多いため、事前に確認が必要です。
受け取りを禁止されている場合は、無理に渡そうとせず、言葉で感謝を伝えるだけで十分です。
葬儀での寸志の表書きは、目上の方には「志」、目下の方には「寸志」と書きます。
渡すタイミングは、それぞれの役割が終わった後や、お別れの際が適切です。
引っ越し業者への心付けとして
引っ越しの際に、荷物を運搬してくれた業者やスタッフに寸志を渡すことがあります。
これは「心付け」とも呼ばれ、作業への感謝を示すものです。
金額の目安は一人あたり1,000円から3,000円程度とされています。
ただし、最近では会社の方針で受け取りを断るケースも増えているため、無理に渡す必要はありません。
渡すタイミングは、作業が完全に終わった後が基本です。
「お疲れ様でした」「ありがとうございました」といった感謝の言葉とともに手渡しましょう。
金銭を渡すことに抵抗がある場合や、受け取りを断られた場合は、冷たい飲み物やお菓子を差し入れるのも良い方法です。
特に夏場の暑い時期や、長時間の作業が見込まれる場合は、飲み物の差し入れが喜ばれるでしょう。
封筒の表書きには「寸志」または「御礼」と書き、名前を添えて渡します。
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- 寸志は「心ばかりの贈り物」を意味する謙譲表現である
- 寸志は目上の人から目下の人に使う言葉で、逆は失礼にあたる
- 目上の人への贈り物には「御礼」「ご挨拶」「謝儀」などを使う
- 寸志を受け取った側は「ご厚志」「ご芳志」に言い換えて感謝する
- ご芳志はご厚志よりも丁寧で改まった表現である
- 寸志とボーナス・賞与は性質が異なり、寸志は少額の心遣いである
- 忘年会や新年会では会の始まる前に渡すのが基本マナー
- 封筒は白い無地のものを選び、豪華な水引は避ける
- 金額の相場は1,000円から10,000円で、場面によって調整する
- 結婚式では「御礼」、葬儀では「志」または「寸志」と表書きする
- 引っ越し業者への寸志は受け取りを断られるケースもある
- 渡す際は必ず感謝の言葉を添えることが大切
- 言い換え表現は相手との関係性や場面の格式に合わせて選ぶ
- 公営施設では寸志の受け取りを禁止している場合があるので確認が必要
- 松の葉は目上・目下の区別なく使える便利な表現である
寸志の正しい使い方と言い換え表現を理解することで、ビジネスシーンや冠婚葬祭での対応がスムーズになります。相手への感謝の気持ちを適切な形で伝えられるよう、ぜひこの知識を活用してください。
関連サイト
厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/)
