あなたは「予備試験は無理ゲーだ」と思ったことはありませんか?結論、予備試験は確かに難関試験ですが、決して無理ゲーではありません。この記事を読むことで予備試験の本当の難易度と、現実的な合格戦略がわかるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。
1. 予備試験が無理ゲーと言われる理由

合格率3〜4%という驚異的な低さ
予備試験が「無理ゲー」と言われる最大の理由は、その合格率の低さにあります。
令和6年度の予備試験では、受験者12,569人に対して合格者は449人、合格率はわずか3.6%でした。
この数字だけを見れば、100人受験して3~4人しか合格できないという狭き門です。
過去のデータを見ても、平成25年から令和6年度まで一貫して3~4%前後を推移しており、安定して低い合格率となっています。
最も高い合格率でも令和2年度の4.2%であり、受験生にとって非常に厳しい試験であることは間違いありません。
この合格率の低さが、予備試験を「無理ゲー」と感じさせる最大の要因となっています。
3段階の試験すべてに合格する必要性
予備試験の難易度を高めているもう一つの要因は、試験制度そのものにあります。
予備試験に最終合格するためには、短答式試験、論文式試験、口述試験という性質の異なる3つの試験を連続して突破しなければなりません。
短答式試験はマークシート形式で正確な知識を問われ、合格率は約20%前後です。
論文式試験では法的思考力や論理構成力、文章表現力が求められ、短答式試験合格者の中から約17~19%しか合格できません。
口述試験は面接形式で、対話によるコミュニケーション能力も試されます。
仮に短答式試験に合格しても、論文式試験で不合格になれば、翌年は再び短答式試験から受験し直す必要があります。
このように、段階的に受験者がふるいにかけられ、それぞれの段階で異なる能力が求められるため、総合的な実力がなければ最終合格には至らないのです。
10科目にわたる膨大な試験範囲
予備試験の学習範囲は極めて広範囲にわたります。
短答式試験では、憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法の基本7科目に加え、一般教養科目も含まれます。
論文式試験ではさらに民事実務基礎や刑事実務基礎、選択科目が加わり、合計で10科目にもなります。
これは法律系資格試験の中でも最多の科目数です。
各科目の内容も専門的であり、単なる暗記では対応できず、理解力と応用力が求められます。
一般的に予備試験の合格には2,000~10,000時間の勉強時間が必要とされており、学習期間は2~4年程度が目安となります。
この膨大な学習量と試験範囲の広さが、受験生にとって大きな壁となり、「無理ゲー」と感じさせる要因の一つとなっています。
受験資格がなく誰でも受けられることの影響
予備試験の合格率が低い理由の一つとして、受験資格がない点が挙げられます。
予備試験には年齢や学歴などの制限がなく、誰でも受験できるため、受験者層が非常に幅広くなっています。
その結果、十分な準備ができていない記念受験層も多く含まれており、それが合格率を引き下げている側面があります。
一方、司法試験の受験資格を得るもう一つのルートである法科大学院ルートは、法科大学院を修了する必要があり、受験者層がある程度絞られています。
実際、令和6年の司法試験の合格率は約42.1%と、予備試験より圧倒的に高くなっています。
しかし、これは予備試験が司法試験より難しいという意味ではなく、母数が多いことから全体の合格者の割合が低く見えてしまうことが原因です。
つまり、予備試験の合格率3~4%という数字は、確かに厳しいものですが、真剣に取り組んでいる受験生にとっての実質的な競争率は、この数字が示すほど絶望的ではないのです。
2. 予備試験は本当に無理ゲーなのか

合格率の低さが示す本当の意味
予備試験の合格率3~4%という数字だけを見れば、確かに「無理ゲー」と感じるのも無理はありません。
しかし、この数字の背景を正しく理解することが重要です。
合格率が低い最大の理由は、受験資格がないため誰でも受験できることにあります。
受験者の中には、十分な準備期間を確保できていない方、記念受験の方、法律の基礎知識がほとんどない方なども含まれています。
実際、合格率3~4%という数字でも、毎年400~500人もの合格者が出ているという事実があります。
令和元年から令和6年まで、合格者数は450人以上500人未満の間で推移しており、安定して一定数の合格者を輩出しています。
つまり、適切な対策と十分な学習を行えば、合格は決して不可能ではないということです。
記念受験層の存在と実質的な競争率
予備試験の受験者層を詳しく見ると、実質的な競争率は表面的な合格率とは異なることがわかります。
受験資格がないことから、法律の学習を始めたばかりの初学者や、試験の雰囲気を知るための記念受験者も多数含まれています。
予備試験合格者の中で最も高い割合を占めているのは「大学在学中」の受験者です。
令和6年度では、大学生の合格率は7.6%と、全体の合格率3.6%の2倍近い数字となっています。
これは、大学生が比較的勉強時間を確保しやすく、真剣に対策を行っている受験生の割合が高いことを示しています。
また、予備試験の平均受験回数は約1.72回とされており、多くの合格者が1~2回の受験で合格していることがわかります。
つまり、しっかりと準備をして臨めば、数回の挑戦で合格できる可能性が十分にあるということです。
毎年数百人の合格者がいる事実
「無理ゲー」という言葉は、攻略がほぼ不可能なゲームを指しますが、予備試験は決してそうではありません。
毎年安定して400~500人の合格者が出ており、様々なバックグラウンドを持つ人々が合格を勝ち取っています。
令和6年度の職業別内訳を見ると、大学生だけでなく、公務員、会社員、無職の方など、様々な職業の方が合格していることがわかります。
社会人で働きながら合格した方も80名ほどおり、仕事と勉強を両立しながらでも合格は十分可能です。
また、東京大学の合格率が11.81%、一橋大学が10%と、難関大学であっても合格率は10%前後であり、優秀な学生でも簡単ではないことがわかります。
しかし同時に、これらの大学の学生でなくても合格している人が多数いるという事実も見逃せません。
予備試験は確かに難関試験ですが、毎年確実に合格者を輩出しており、適切な対策を行えば突破できる試験なのです。
適切な対策で突破は十分可能
予備試験合格者の多くは、「予備試験を無理ゲーとは思わなかった」と語っています。
なぜなら、予備試験に合格することを現実的な目標と捉え、必要な努力を重ねてきたからです。
予備試験の合格ラインは、短答式試験が約6割、論文式試験が約5割となっており、満点を取る必要はありません。
それぞれの試験、科目に対し、適切な勉強と対策を取ることができれば、合格ラインに到達することは十分可能です。
実際、予備試験合格者の司法試験合格率は令和元年以降、常に90%以上を維持しており、近年は93%を超えています。
これは、予備試験の対策をしっかり行うことで、司法試験に合格できる実力が身につくことを示しています。
予備試験は「無理ゲー」ではなく、正しい方向性で継続的に学習を積み重ねれば、合格が十分可能な試験です。
重要なのは、合格率の数字に惑わされず、自分に合った学習計画を立て、着実に実行していくことです。
3. 予備試験の難易度を徹底分析

短答式試験の特徴と合格基準
短答式試験は予備試験の第一関門であり、マークシート形式で実施されます。
令和6年度の短答式試験では、受験者数12,569人に対し合格者数は2,747人で、合格率は21.9%でした。
8割の受験生がここで不合格とされ、論文式試験を受けられなくなるため、油断できない試験です。
短答式試験の科目は、憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法の基本7科目に加え、一般教養科目も含まれます。
各科目の配点の4割が足切りラインとなっており、民法が30点、憲法・刑法が20点となっています。
令和6年の合格ラインは165点で、満点の約6割程度となっています。
短答式試験では基本的な問題が多く、日頃から基礎を抑えて勉強していれば問題なく超えられる点数です。
しかし、科目数が多いため、バランスよくすべての科目を学習する必要があり、苦手科目を作ってしまうと足切りに引っかかるリスクがあります。
論文式試験に求められる能力
論文式試験は予備試験の最大の難関であり、短答式試験を突破した優秀な受験生の中から、さらに約17~19%しか合格できません。
令和6年度の論文式試験では、短答式試験合格者2,747人の中から、わずか481人しか合格できませんでした。
論文式試験では、単に法律知識を持っているかではなく、それをいかに使いこなせるかが試されます。
具体的には、与えられた複雑な事例の中から法的な問題点を発見する「問題発見能力」が求められます。
関連する法律や判例を的確に適用して結論を導き出す「論理的思考力」も必要です。
その思考プロセスを採点者に分かりやすく、説得力のある文章で示す「表現力」も評価されます。
どれだけ豊富な知識を持っていても、それを論理的に構成し、明快な文章で表現できなければ評価されません。
論文式試験の合格ラインは約5割とされており、満点を取る必要はありませんが、合格答案の相場観を身につけることが重要です。
口述試験での評価ポイント
口述試験は予備試験の最終関門ですが、合格率は非常に高く、令和6年度では97.4%でした。
近年の口述式試験合格率は91.1%~98.4%で推移しており、論文式試験を突破できれば、ほぼ確実に合格できると言えるでしょう。
口述試験は面接形式で行われ、試験官との対話を通じて法的な知識や思考力が評価されます。
対話によるコミュニケーション能力や、法的な問題に対して論理的に回答できるかが重視されます。
合格率は高いものの、口述試験の受験者は論文式試験を突破した非常に優秀な人たちなので、見かけの合格率よりも難易度は高いと考えるべきです。
当日は緊張との闘いになるため、普段から答案練習会などで実戦訓練を積んでおくことが重要です。
口述試験では特別な対策よりも、論文式試験までに培った法的思考力と表現力を、口頭でも発揮できるように準備しておくことがポイントです。
必要な勉強時間と学習期間の目安
予備試験合格に必要な勉強時間は、一般的に2,000~10,000時間とされています。
この幅の大きさは、法律知識の有無や学習効率によって個人差が非常に大きいためです。
法律初学者の場合は8,000~10,000時間程度、法律の基礎知識がある場合は3,000~5,000時間程度が目安となります。
予備試験の平均受験回数は約1.72回であるため、多くの合格者は約3,000~5,000時間勉強していると言えるでしょう。
学習期間については、学生なら2年~2年半、社会人なら3年~3年半が目安となります。
学生の場合、大学のある日は4時間、休日は8時間の勉強時間を確保できれば、年間約2,230時間の勉強が可能です。
社会人の場合、平日に2~3時間、休日に5~8時間の勉強時間を確保できれば、年間約1,600~2,000時間の勉強が可能です。
重要なのは、勉強時間の絶対値よりも、いかに効率的に学習できるかという点です。
スキマ時間を活用し、質の高い学習を継続することで、目標とする勉強時間を確保し、合格に近づくことができます。
4. 無理ゲーを攻略する現実的な戦略

独学での合格は可能か
予備試験を独学で合格することは可能ですが、非常に険しい道のりとなります。
実際に独学で合格した方も存在しており、東京大学法学部の学生が1,200時間という短時間で合格した事例もあります。
しかし、この方は名門進学校から東京大学法学部に入学し、既に法律の知識があったという特殊な例です。
一般的に、独学での合格者割合は少なく、毎年主な予備校や通信講座の占有率は非常に高いことが報告されています。
独学のメリットは、費用を抑えられることです。
予備校に通う場合は平均で30万~50万円程度、マンツーマンレッスンなどサポートが手厚い講座では数百万円必要になるケースもあります。
独学の場合、必要な費用は教材費や問題集、模試や試験の受験料(17,500円)のみです。
一方、独学のデメリットは、学習の方向性を間違えるリスクが高いこと、モチベーションの維持が難しいこと、答案添削などのフィードバックが得られないことです。
予備試験は最難関の試験であり、独学で合格できる可能性は高くありません。
予備校・通信講座の効果的な活用法
予備試験合格を目指すなら、予備校や通信講座の活用が効果的です。
予備校・通信講座を利用することで、合格に必要な知識を体系的に学べ、効率的な学習が可能になります。
大手予備校では、「司法予備試験に合格するには最短2年かかり、週に15時間以上を勉強に費やせなければ合格は難しい」と説明しているところもあります。
それでも、独学で全てをやり切ろうとするよりは、はるかに効率的に学習を進めることができるでしょう。
特に社会人の場合、スキマ時間を活用できる通信講座がおすすめです。
動画講義をスマートフォンやタブレットで視聴できる講座であれば、通勤時間や昼休みなどの細切れ時間でも学習できます。
また、答案練習会や模試に参加することで、実戦訓練を積むことができ、自分の答案のレベルを客観的に把握できます。
プロ講師による添削やコーチング、質問制度などのサポートを活用することで、独学では得られない学習環境が整います。
予備校・通信講座の選択においては、費用対効果を考え、自分の学習スタイルに合ったものを選ぶことが重要です。
正しい勉強法の確立と継続
予備試験合格に最も重要なのは、正しい勉強法を確立し、それを継続することです。
短期合格者の多くは、「問題を解く学習」に早く移行することで勉強の効率を最大限まで高めています。
基礎知識のインプットを早期に終えて、過去問や答案練習に多くの時間を配分することが重要です。
具体的な勉強法としては、まず基礎知識のインプットから始めます。
法律基礎7科目の学習を一通り行い、各科目の基本的な概念や原則を理解します。
次に、論文式試験の論点の読み解き方・書き方を身につけます。
基礎的な問題について答案を書けるようになったら、過去問に挑戦します。
予備試験の論文式試験を1年分解くだけでも10時間以上かかり、これを10年分行うと100時間以上必要です。
復習時には出題の趣旨の読み解き、自分の答案の分析、関連事項の復習など、解く時間の4倍以上の時間をかけたいところです。
短答式試験対策としては、一冊の問題集を3周ほど解くことで効率よくインプットできます。
モチベーション維持のための心構え
予備試験合格には2~4年という長期間の学習が必要であり、モチベーションの維持が最大の課題となります。
「予備試験に絶対合格する!」という強い気持ちを持つことが重要です。
なぜならモチベーションが維持できなければ挫折するからです。
予備試験合格者は、予備試験に合格することを現実的な目標と捉え、必要な努力を重ねてきた人たちです。
「無理ゲー」と思っていては、合格するために必要な対策をとれません。
予備試験を無理ゲーと思っている方が予備試験に合格することは無理です。
モチベーション維持のためには、合格目標期間を決めて、逆算してスケジュールを立てることが効果的です。
また、勉強仲間を作ったり、SNSで学習記録を共有したりすることで、継続しやすくなります。
自分に合った勉強法を見直し、変なプライドを持たず、素直に講師の指導を受け入れることも大切です。
予備試験は司法試験の受験資格を得るための経過点に過ぎません。
最終目標は司法試験合格であり、法曹として活躍することです。
その大きな目標を常に意識することで、日々の学習へのモチベーションを維持できます。
まとめ
予備試験に関する重要なポイントを振り返りましょう。
- 予備試験の合格率は3~4%と低いが、受験資格がないため記念受験層も含まれており、真剣に取り組む受験生にとっての実質的な競争率はこの数字が示すほど絶望的ではない
- 毎年400~500人の合格者が出ており、様々なバックグラウンドを持つ人々が合格を勝ち取っているという事実がある
- 予備試験は短答式試験、論文式試験、口述試験の3段階で構成され、それぞれ異なる能力が求められるため、総合的な実力が必要となる
- 合格に必要な勉強時間は2,000~10,000時間、学習期間は学生なら2年~2年半、社会人なら3年~3年半が目安である
- 独学での合格は可能だが非常に困難であり、予備校や通信講座を活用することで効率的な学習が可能になる
- 短期合格のためには、基礎知識のインプットを早期に終えて、問題を解く学習に多くの時間を配分することが重要である
- 合格ラインは短答式試験が約6割、論文式試験が約5割であり、満点を取る必要はない
- 予備試験合格者の司法試験合格率は90%以上と非常に高く、予備試験の対策が司法試験合格にも直結する
- モチベーション維持のためには、強い目標意識を持ち、正しい勉強法を確立し、継続することが最も重要である
- 予備試験は「無理ゲー」ではなく、適切な戦略と継続的な努力によって、合格は十分可能な試験である
予備試験は確かに難関試験ですが、決して「無理ゲー」ではありません。合格率の数字に惑わされず、自分に合った学習計画を立て、着実に実行していくことで、合格への道は必ず開けます。あなたの努力が実を結ぶことを心から応援しています。
関連サイト
法務省 司法試験予備試験のページ
