あなたは「ダブルワークでも割増賃金が必要なの?」と疑問に思ったことはありませんか?結論、ダブルワークでも労働時間は通算され、法定労働時間を超えれば割増賃金が発生します。この記事を読むことで、ダブルワークの割増賃金に関する正しいルールや、合法的に回避する方法がわかるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。
Contents
1.ダブルワークの割増賃金とは?基本ルールを理解する

ダブルワークでも労働時間は通算される
ダブルワークにおいて最も重要なポイントは、労働時間が複数の勤務先で通算されるという点です。
労働基準法第38条では「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と明確に定められています。
これは、本業と副業で別々の会社に勤務していても、労働時間は合算して計算しなければならないことを意味します。
たとえば、A社で平日に8時間勤務し、毎週土曜日にB社で8時間勤務する場合、通算の労働時間は週48時間となり、法定労働時間である週40時間を超えることになります。
この通算ルールは雇用形態に関係なく、正社員だけでなくアルバイトやパート勤務であっても同様に適用されます。
労働者にとっては、複数の職場での勤務時間を自分で把握し、管理することが求められます。
法定労働時間を超えると割増賃金が発生する
労働基準法第32条では、法定労働時間を1日8時間、週40時間と定めています。
この法定労働時間を超えて働く場合、使用者は労働者に対して割増賃金を支払う義務があります。
ダブルワークの場合、本業と副業の労働時間を通算した結果、この法定労働時間を超えた部分について割増賃金が発生するのです。
割増賃金を支払うためには、企業は36協定(サブロク協定)を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。
36協定を締結していない状態で法定労働時間を超えて労働させると、労働基準法違反となり罰則の対象となります。
ダブルワークをする労働者は、自分の総労働時間が法定時間内に収まっているかを常に意識することが重要です。
割増賃金の計算方法と割増率の基本
割増賃金の計算は、通常の賃金に対して一定の割増率を乗じることで算出されます。
労働基準法第37条により、時間外労働に対する割増率は最低でも25%以上と定められています。
具体的な計算式は「1時間あたりの賃金×1.25×時間外労働時間」となります。
たとえば、時給1,000円の労働者が2時間の時間外労働を行った場合、割増賃金は「1,000円×1.25×2時間=2,500円」となります。
また、月に60時間を超える時間外労働については、割増率が50%以上に引き上げられます。
深夜労働(22時から5時まで)については25%以上、休日労働については35%以上の割増率が適用されるため、それぞれのケースに応じた正確な計算が必要です。
「いらない」と誤解される理由とそのリスク
「ダブルワークでは割増賃金がいらない」という誤解が生まれる背景には、いくつかの要因があります。
まず、労働者が複数の勤務先に申告せずに働いている場合、各企業は他社での労働時間を把握できず、結果として割増賃金が支払われないケースがあります。
また、短時間勤務であれば問題ないと考える労働者や企業も多く、「週1回3時間だから大丈夫」という誤った認識が広まっています。
しかし、実際には本業の労働時間と合算すると法定労働時間を超えている可能性があり、割増賃金の支払い義務が発生します。
企業側がこの義務を怠った場合、労働基準監督署からの是正勧告や罰則の対象となるリスクがあります。
労働者にとっても、本来受け取るべき賃金が未払いとなる不利益が生じるため、正しい知識を持つことが非常に重要です。
2.ダブルワークの割増賃金は誰が支払うのか

原則は「後から契約した会社」が支払う
ダブルワークにおける割増賃金の支払い義務は、原則として後から労働契約を締結した会社が負います。
これは、後から契約する会社が「すでに他社で働いている」という事実を知った上で雇用契約を結ぶため、法定労働時間を超える可能性を認識しているという考え方に基づいています。
たとえば、A社で所定労働時間8時間の契約で働いている労働者が、新たにB社と所定労働時間3時間の契約を結んだ場合、B社での3時間すべてが法定労働時間を超えることになります。
この場合、B社が割増賃金を支払う義務を負うのが原則です。
労働者から「別の会社でも働き始めた」と報告を受けた企業は、自社が後から契約した立場かどうかを確認する必要があります。
割増賃金の支払い義務を正しく理解し、適切に対応することは、労働基準法違反を避けるために不可欠です。
先に契約した会社が支払うケースもある
原則は後から契約した会社が支払いますが、先に契約した会社が割増賃金を支払う義務を負うケースも存在します。
それは、先に労働契約を締結した会社が、通算した労働時間が法定労働時間を超えることを認識しながら、自社で労働時間を延長させた場合です。
たとえば、A社で5時間、B社で3時間の所定労働時間で働いている労働者に対して、A社が残業を命じて労働時間を延長させたケースが該当します。
この場合、A社は副業先の労働時間を把握しており、通算すると法定時間を超えることを知りながら労働させているため、A社に割増賃金の支払い義務が発生します。
企業は従業員の副業状況を適切に把握し、労働時間の延長を命じる際には通算労働時間を考慮する必要があります。
このルールを理解していないと、予期せぬ割増賃金の支払い義務が発生するリスクがあるため、注意が必要です。
両方の会社に支払い義務が生じる場合
特定の状況下では、本業と副業の両方の会社に割増賃金の支払い義務が生じるケースもあります。
これは、両社がそれぞれ所定外労働時間(残業)を発生させ、その結果として法定労働時間を超えた場合に起こります。
たとえば、A社で所定労働時間5時間に対して2時間残業し、B社で所定労働時間3時間に対して1時間残業したケースを考えてみましょう。
この場合、A社での労働終了時点ではまだ法定労働時間内ですが、B社での労働によって通算で法定時間を超えることになります。
A社は所定外労働の2時間分について、B社は所定外労働の1時間分について、それぞれ割増賃金を支払う義務を負います。
労働者は両社に対して適切に割増賃金を請求できますが、計算が複雑になるため、専門家のアドバイスを受けることも検討すべきです。
労働時間の通算管理と企業の責任
企業には、ダブルワークをしている従業員の労働時間を適切に把握し管理する責任があります。
厚生労働省の通達では、企業は労働者からの申告により副業の有無や内容を確認し、労働時間を通算管理することが求められています。
具体的には、就業規則や労働契約に副業に関する届出制を設け、従業員が副業を開始する際に必ず報告してもらう体制を整えることが重要です。
企業は従業員から申告された他社での労働時間をもとに、通算した労働時間を計算し、法定労働時間を超えているかを判断します。
ただし、労働者からの申告がない場合には労働時間の通算は不要とされており、企業が自ら調査する義務まではありません。
それでも、過重労働による健康障害を防ぐため、企業には安全配慮義務があり、従業員の健康状態に異変がある場合は適切な対応が求められます。
3.ダブルワークで割増賃金を発生させない方法

業務委託契約を活用する選択肢
割増賃金を発生させない最も効果的な方法の一つが、雇用契約ではなく業務委託契約を結ぶことです。
業務委託契約では、発注者と受注者が対等な立場で業務の受委託を行うため、労働基準法の適用対象外となります。
つまり、業務委託契約で働く場合、労働時間の通算ルールや割増賃金の規定が適用されないのです。
業務委託のメリットとしては、労働時間の制限がなく自分のペースで仕事ができることや、成果報酬制で働ける点が挙げられます。
ただし、業務委託と雇用の違いは「指揮命令関係」の有無にあり、実態として指揮命令を受けている場合は雇用とみなされるリスクがあります。
企業側も労働者側も、契約形態が実態に合っているかを慎重に判断し、適切な契約を締結することが重要です。
労働時間を法定時間内に調整する工夫
副業の労働時間を調整することで、法定労働時間を超えずに働くことも可能です。
たとえば、本業の所定労働時間が週40時間であれば、副業では週0時間、つまり法定労働時間の範囲内に収める必要があります。
実際には、本業を週35時間に抑え、副業で週5時間働くといった調整が考えられます。
シフト制勤務の職種では、勤務スケジュールを柔軟に調整できることが多いため、事前に計画を立てることで法定時間内に収めることができます。
労働者自身が本業と副業の労働時間を正確に把握し、合計が法定労働時間を超えないように管理することが求められます。
この方法であれば、割増賃金の問題を回避しながら、合法的に収入を増やすことができます。
副業先との労働条件の事前確認が重要
ダブルワークを始める前に、副業先との労働条件を明確に確認しておくことが非常に重要です。
特に、所定労働時間、勤務日数、勤務時間帯などを詳細に把握し、本業との労働時間の通算を正確に計算する必要があります。
副業先の企業に対しても、本業での労働時間を正直に申告し、通算で法定労働時間を超える可能性があることを伝えるべきです。
これにより、副業先の企業も適切な労働時間管理を行い、必要に応じて36協定の締結や割増賃金の支払いを準備できます。
労働契約書や就業規則の内容をしっかり確認し、不明な点があれば契約前に質問して解消しておきましょう。
トラブルを未然に防ぐためにも、双方の企業と労働者が透明性を持ってコミュニケーションを取ることが大切です。
管理モデルを導入して負担を軽減する
厚生労働省が推奨する「管理モデル」を導入することで、労働時間管理の負担を軽減できます。
管理モデルとは、副業を始める前に本業と副業先、労働者の三者間で合意を形成し、あらかじめ法定外労働時間の上限を設定する方法です。
たとえば、本業のA社と副業のB社で、それぞれが負担する法定外労働時間の上限を事前に取り決めておきます。
A社は自社の法定外労働時間について、B社は所定労働時間および所定外労働時間について割増賃金を支払うという形です。
この仕組みにより、他社での労働時間を毎回確認する手間が省け、労働時間管理の効率化が図れます。
ただし、管理モデルの導入には三者間の合意が必要であり、すべてのケースで適用できるわけではありません。
4.ダブルワークの割増賃金に関する注意点

両方の会社に申告しないと請求できない
ダブルワークの割増賃金を適切に受け取るためには、本業と副業の両方の会社にダブルワークの事実を申告することが絶対条件です。
もし片方または両方の会社に内密にしていた場合、各企業は法定時間内の労働として扱い、割増賃金を支払わない可能性が高くなります。
労働時間は通算して考えられるため、一方の企業だけに申告しても、もう一方の企業が把握していなければ適切な管理ができません。
特に本業が副業禁止の場合、隠してダブルワークを行うと、割増賃金の問題だけでなく就業規則違反として処分を受けるリスクもあります。
労働者にとって最もリスクが少ない方法は、事前に両社の了承を得た上でダブルワークを行うことです。
透明性を持って申告することで、残業代の未払いなどのトラブルを未然に防ぐことができます。
未払いが発生した場合の企業リスク
企業が割増賃金の支払い義務を怠った場合、深刻な法的リスクに直面することになります。
労働基準監督署からの是正勧告や、労働基準法違反として司法処分の対象となる可能性があります。
労働基準法第37条違反の場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、従業員からの未払い賃金請求により、過去2年分(条件によっては3年分)の割増賃金を遡って支払う必要が生じることもあります。
企業の信用失墜や、労働基準監督署の調査対応に追われることで、通常業務にも支障をきたすリスクがあります。
したがって、企業は従業員の副業状況を適切に把握し、割増賃金の支払い義務がある場合は確実に履行することが重要です。
フリーランスや個人事業主は対象外
フリーランスや個人事業主として副業を行う場合、労働基準法の適用対象外となるため、割増賃金の規定は適用されません。
これは、フリーランスや個人事業主は企業と雇用契約を結ばず、業務委託契約や請負契約で働いているためです。
労働時間の通算も不要であり、法定労働時間を超えて働いても法律上の問題は生じません。
ただし、形式的には業務委託契約であっても、実態として雇用関係に近い場合は「労働者」とみなされる可能性があります。
判断基準としては、業務の遂行方法や時間に関する指揮命令があるか、報酬が労働時間に基づいているかなどが考慮されます。
自分の働き方が雇用にあたるのか業務委託にあたるのか判断に迷う場合は、社会保険労務士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
健康管理と過労防止も忘れずに
割増賃金の問題だけでなく、ダブルワークによる過重労働と健康管理も重要な課題です。
法定労働時間の上限は設けられているものの、36協定により月45時間、年360時間までの時間外労働が可能となります。
ダブルワークをすることで、心身にかかる負担が大きくなり、過労による体調不良や健康問題を引き起こすリスクが高まります。
企業には安全配慮義務があり、ダブルワークを把握している場合はもちろん、把握していなくても疲労の蓄積が見られる場合は配慮措置が必要です。
労働者自身も、無理なスケジュールで働き続けることは避け、定期的に健康状態をチェックすることが大切です。
収入を増やすことも重要ですが、健康を損なっては本末転倒ですので、適切なワークライフバランスを保つよう心がけましょう。
まとめ
この記事では、ダブルワークの割増賃金に関する重要なポイントを解説しました。主なポイントは以下の通りです。
- ダブルワークでも労働時間は通算され、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えると割増賃金が発生する
- 割増賃金の支払い義務は原則として後から労働契約を結んだ会社が負うが、状況により先に契約した会社や両方が負う場合もある
- 業務委託契約を活用すれば労働基準法の適用外となり、割増賃金の問題を回避できる
- 労働時間を法定時間内に調整することで、合法的にダブルワークができる
- 管理モデルを導入すれば、労働時間管理の負担を軽減できる
- 両方の会社にダブルワークを申告しないと、割増賃金を適切に請求できない
- 未払いが発生すると、企業は是正勧告や罰則のリスクを負う
- フリーランスや個人事業主として働く場合は労働基準法の対象外となる
- ダブルワークは過重労働のリスクがあるため、健康管理にも十分注意が必要
ダブルワークは収入を増やす有効な手段ですが、労働時間や割増賃金のルールを正しく理解することが重要です。適切な知識を持って、安全かつ合法的に働きましょう。
関連サイト:厚生労働省「副業・兼業」 https://www.mhlw.go.jp/
