くる(来る)の謙譲語はどれ?「参る・伺う」の正しい使い方と使い分け完全ガイド
「くる」の謙譲語って「参る」と「伺う」どちらが正しいの?と迷ったことはありませんか?
この記事では、それぞれの正しい使い方と使い分けのポイントがわかるようになりますよ。
ビジネスシーンで自信を持って使えるよう、ぜひ最後まで読んでください。
Contents
1.「くる」の謙譲語とは?基本をおさえよう

謙譲語とは何か:敬語の種類をおさらい
敬語は大きく「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類に分けられます。
- 尊敬語:相手の動作を高めて表現する言葉(例:「いらっしゃる」「おいでになる」)
- 謙譲語:自分や身内の動作をへりくだって表現する言葉(例:「参る」「伺う」)
- 丁寧語:話し方そのものを丁寧にする言葉(例:「です」「ます」)
謙譲語を使うことで、相対的に相手を立てることができるのが最大の特徴です。
「くる(来る)」の謙譲語を正しく使えると、ビジネスメールや対面の会話で一気に印象がよくなります。
日本語能力試験(JLPT)や社会人マナー研修でも頻出の項目ですので、しっかりと理解しておくことが大切です。
「くる」の謙譲語は「参る」と「伺う」の2種類
「くる(来る)」の謙譲語として代表的なのは、「参る(まいる)」と「伺う(うかがう)」の2つです。
どちらも「自分が移動する」という動作をへりくだって言う表現ですが、使う場面が明確に異なります。
| 謙譲語 | 読み方 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 参る | まいる | 自分が移動することを広く表現する |
| 伺う | うかがう | 相手のもとへ行く・訪問することを表現する |
どちらを使えばよいか迷ったときは、「誰のもとへ行くのか」を意識すると判断しやすくなります。
「参る」と「伺う」の根本的な違い
「参る」と「伺う」の根本的な違いは、行き先が「相手(目上の人)のところ」かどうかにあります。
- 参る:自分が「どこかへ移動する」という事実だけを謙譲語で表現する。行き先が相手とは限らない。
- 伺う:「目上の人・相手のもとへ行く」という意味が含まれており、相手への敬意が直接込められている。
たとえば、「明日、そちらへ行きます」を謙譲語で言う場合は「明日、伺います」が自然です。
一方、「今から会場へ向かいます」のように、行き先が相手の場所でない場合は「今から会場へ参ります」が適切です。
このように、行き先が相手かどうかで使い分けるのが基本ルールです。
2.「参る」の正しい使い方と例文

「参る」を使う場面:自分が移動するときの基本
「参る」は、自分(または自分の身内)が移動することをへりくだって表現する語です。
行き先が「相手のもと」でなくてもよく、汎用性が高い謙譲語です。
主に次のような場面で使います。
- 「これから会議室に参ります」(場所への移動)
- 「ただいま参りました」(到着を伝える)
- 「担当者がすぐに参ります」(第三者(身内)の移動)
特に「担当者が参ります」のように、社外の人に対して自社の人間の動作を伝えるときは「参る」を使います。
このとき、自社の人間には尊敬語ではなく謙譲語を使うのが敬語の基本ルールですので注意しましょう。
ビジネスシーンでの「参る」の使い方と例文
実際のビジネスシーンでは、次のような使い方が一般的です。
- 「ただいま担当の者が参りますので、少々お待ちください。」
- 「明日の午後3時に御社へ参ります。」(※この場合は「伺います」の方がより自然)
- 「先ほどの件を確認し、すぐに参ります。」
- 「新しいカタログをお持ちして参りました。」
「参る」は特に電話対応・受付・来客時などでよく使われる表現です。
日常的なシーンで自然に使えるよう、声に出して練習しておくとよいでしょう。
「参ります」「参りました」など活用パターン一覧
「参る」の主な活用形を整理しておきます。
| 活用形 | 例文 |
|---|---|
| 参ります(現在・未来) | 「すぐに参ります。」 |
| 参りました(過去・完了) | 「ただいま参りました。」 |
| 参りますでしょうか(確認) | ほぼ使わない(過剰敬語になりやすい) |
| 参ることができます | 「明日であれば参ることができます。」 |
活用の際、「参りますでしょうか」は二重敬語になるため避けましょう。
「参れますか」や「伺えますか」など、シンプルな形を選ぶのが正解です。
「参る」を使ってはいけない場面・よくある間違い
「参る」は万能に思えますが、使ってはいけない場面もあります。
- ❌「部長が参られました」→ 自社の上司(部長)に尊敬語(〜られる)+謙譲語(参る)を重ねるのはNG
- ❌「お客様が参りました」→ 相手(お客様)の動作に謙譲語を使うのはNG。「いらっしゃいました」が正解
- ❌「社長も参りますのでご安心ください」→ 社外向けなら可だが、社内向けには「いらっしゃいます」が自然
ポイントは、「参る」はあくまで自分や身内(自社の人間)の動作に使うこと。
相手や目上の人の動作に使うと失礼になるため、注意が必要です。
3.「伺う」の正しい使い方と例文

「伺う」を使う場面:相手の元へ行くときの表現
「伺う」は、目上の人や相手のもとへ行く・訪問するという意味の謙譲語です。
「参る」より相手への敬意が直接込められているため、取引先・顧客・上司のもとを訪問する場面でよく使われます。
また、「伺う」は「行く・来る」だけでなく、「聞く・尋ねる」の謙譲語でもあるという多義性を持っています。
文脈によって意味が変わるため、会話の流れで判断することが大切です。
「訪問する」の意味では次のように使います。
- 「明日10時にお伺いします。」
- 「近日中にご挨拶に伺います。」
ビジネスメールで使える「伺う」の例文集
ビジネスメールでは「伺う」が特によく使われます。
以下の例文を参考にしてください。
-
訪問の約束を伝える場合
「来週水曜日の午後2時に貴社へ伺います。どうぞよろしくお願いいたします。」 -
訪問の可否を確認する場合
「ご都合のよろしい日時に伺えますでしょうか。」 -
急な訪問を詫びながら伝える場合
「突然のご連絡となり恐れ入りますが、明日伺ってもよろしいでしょうか。」 -
質問・確認の意味で使う場合
「先日のご提案について、いくつか伺いたい点がございます。」
メールで使うときは「お伺いします」より「伺います」の方がすっきりして読みやすい場合もあります。
「お伺いします」は「お〜する」という謙譲の接頭語+謙譲語の重複になるため、二重敬語に近い表現です(慣用的に許容される場面もあります)。
「伺います」「伺えますか」など場面別の使い分け
「伺う」の活用形ごとの使い方を整理します。
| 表現 | 使う場面 | 例文 |
|---|---|---|
| 伺います | 訪問・質問の意思を伝える | 「明日伺います。」 |
| 伺えますか | 訪問・質問の可否を確認 | 「ご都合を伺えますか。」 |
| 伺いたいのですが | 質問の前置き | 「一点伺いたいのですが…」 |
| 伺っております | 既に聞いている内容を確認 | 「ご事情は伺っております。」 |
| 伺えますでしょうか | 丁寧な確認(やや丁寧すぎ) | 「お時間を伺えますでしょうか。」 |
「伺えますでしょうか」は過剰な丁寧さに感じる人もいるため、「伺えますか」や「伺ってもよろしいでしょうか」の方がすっきりします。
「伺う」の多義性に注意:「聞く・訪問する」の意味の違い
「伺う」には、大きく2つの意味があります。
-
訪問する(行く・来るの謙譲語)
例:「明日、御社に伺います。」 -
聞く・尋ねる(聞くの謙譲語)
例:「ご意見を伺いたいと思います。」
文脈によって意味が変わるため、曖昧にならないよう注意が必要です。
特に「後ほど伺います」という表現は、「後で訪問します」とも「後で聞きます」とも取れるため、具体的な動作を補足するとより明確になります。
例:「後ほどお電話でご意見を伺います。」
4.「参る」と「伺う」を迷ったときの判断基準と実践例

どちらを使うか迷ったときのシンプルな判断フロー
「参る」と「伺う」を迷ったときは、次の2つを確認しましょう。
ステップ1:行き先は相手のもとか?
- はい → 「伺う」を優先して使う
- いいえ(場所・会場など) → 「参る」を使う
ステップ2:動作の主体は誰か?
- 自分・自社の人間 → 謙譲語(参る・伺う)を使う
- 相手・お客様 → 尊敬語(いらっしゃる・おいでになる)を使う
この2ステップで判断すれば、ほとんどの場面に対応できます。
慣れないうちは「相手のもとへ行く=伺う」「それ以外の移動=参る」と覚えておくだけでも十分です。
シチュエーション別:参る・伺うの使い分け早見表
よくある場面ごとに、適切な表現をまとめました。
| シチュエーション | 適切な表現 | NG例 |
|---|---|---|
| 取引先を訪問すると伝える | 明日御社に伺います | 明日御社に参ります(やや不自然) |
| 会議室に向かうと伝える | 会議室に参ります | 会議室に伺います(行き先が相手でない) |
| お客様が来たことを伝える | お客様がいらっしゃいました | お客様が参りました(相手に謙譲語NG) |
| 自社スタッフが来ることを伝える | 担当者がすぐに参ります | 担当者がいらっしゃいます(身内に尊敬語NG) |
| 質問したいことを伝える | ご意見を伺いたいのですが | ご意見を聞きたいのですが(丁寧さ不足) |
この表を手元に置いておくだけで、日常のビジネスシーンの大半をカバーできます。
二重敬語・過剰敬語にならないための注意点
敬語を丁寧に使おうとするあまり、二重敬語や過剰敬語になってしまうケースがよく見られます。
代表的なNG表現と正解を確認しましょう。
- ❌「お伺いいたします」→「伺います」または「伺いたします」で十分
- ❌「参られました」→「参る」+「〜られる」は二重敬語。「いらっしゃいました」が正解
- ❌「ご参ります」→「参る」に「ご」は不要。シンプルに「参ります」でよい
- ❌「伺わせていただきます」→ 慣用的に使われるが、「伺います」の方が簡潔で自然
丁寧さは、重ねれば重ねるほど良いわけではありません。
シンプルで正確な表現の方が、受け取る側にとっても聞き取りやすく、好印象を与えます。
現場のビジネスパーソンが実際に迷いやすいNG例と正解
実際のビジネス現場でよく耳にする、迷いやすいフレーズをチェックしましょう。
-
❌「のちほどご連絡参ります」
✅「のちほどご連絡いたします」(連絡は移動ではないので「参る」は不適切) -
❌「先生のところに参ります」
✅「先生のところに伺います」(目上の人のもとへ行くなら「伺う」) -
❌「お客様が伺われました」
✅「お客様がいらっしゃいました」(相手の動作に謙譲語は使わない) -
❌「弊社の田中がいらっしゃいます」
✅「弊社の田中が参ります」(自社の人間に尊敬語は使わない)
これらのパターンを覚えておくと、ビジネスの場で自信を持って敬語が使えるようになります。
日々の会話やメールの中で意識して使ってみることが、上達への一番の近道です。
まとめ
- 「くる(来る)」の謙譲語は「参る」と「伺う」の2種類がある
- 「参る」は自分や身内が移動することをへりくだって伝える汎用的な謙譲語
- 「伺う」は目上の人・相手のもとへ訪問するときに使う、より相手への敬意が込められた謙譲語
- 行き先が相手のもとなら「伺う」、それ以外の場所なら「参る」と覚えると判断しやすい
- 相手・お客様の動作には謙譲語ではなく尊敬語(いらっしゃる等)を使う
- 自社の人間の動作を社外の人に伝えるときは、謙譲語(参る・伺う)を使う
- 「お伺いいたします」など二重敬語・過剰敬語には注意し、シンプルな表現を心がける
- 「伺う」には「訪問する」と「聞く」の2つの意味があり、文脈によって使い分けが必要
敬語は難しく感じるかもしれませんが、基本のルールを押さえればすぐに実践できます。
「参る」と「伺う」を正しく使い分けることで、ビジネスの場での言葉遣いがグッと洗練されます。
ぜひ今日から、実際のメールや会話の中で意識して使ってみてください。正しい敬語は、あなたへの信頼を高める最強の武器になりますよ。
関連サイト
文化庁「敬語の指針」:https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/keigo_tosin.pdf
